【レントゲンで異常がありませんから様子をみましょう】といわれたことはありませんか?
レントゲンは非常に有用な機器で、多くの骨折の判定に非常に有用です。
しかし実際には骨以外に主病変がある場合の方が圧倒的に多いと感じています。
この病気は、【腱板断裂〝肩の腱が切れること〟】や【石灰沈着性肩関節炎〝石灰がたまり激痛を伴う〟】などいろいろな疾患を含む総称です。
石灰はレントゲンでもエコーでも写りますが、腱板(肩の腱)はレントゲンでは写りません。
エコーでは、腱板の断裂の程度や石灰の沈着、炎症が瞬時に判断することができます。
当クリニックでは、肩の痛みを訴えられる方の9割はレントゲンを撮らずにエコーで診断、エコー下に注射などを行います。
エコーを使用すると、肩峰下滑液包という、数㎜しかない隙間にも正確に注射をすることが可能です。
また筋肉の動きなどを動的に観察できることや患者さんと一緒にモニターをみながら説明ができるので、患者さんの満足度が高くなる印象があります。
医療従事者側からも日々解剖の勉強につながり、知識・技術の向上に役立っています。
当院のエコーの症例をいくつか供覧いたします。
僧帽筋と肩甲挙筋の筋肉間は肩こりの原因になりやすいといわれています。
そこに局所麻酔剤を生理食塩水で薄めた注射を行い、肩こりの改善を目指します。
肩には肩峰下滑液包という小さな関節の袋があります。
ここが炎症を起こすと、肩を挙げたり、エプロンの紐を結ぶ動作のときに痛みを生じます。
小さい関節の袋なので、エコーを使用して、正確に注入を行うようにしています。
関節リウマチは、関節が破壊される疾患ですが、初期はX線検査ではわかりにくいことが多いため、エコーを使って滑膜炎(組織の炎症)の診断をします。
(ア) 痛風の関節痛は、【風が吹いても痛い】といわれるくらい痛いのが特徴です。
特に多いのが、足の親指付け根です。非常に狭い場所なので、エコーで正確に注射部位を同定するようにしています。
(ア) 単純性股関節炎
(イ) 仙腸関節炎
(ウ) 変形性股関節症
加齢とともに股関節の軟骨がすり減る疾患です。
股関節は非常に深いところにあるため、正確に関節内に注射を行うためには、透視装置を使用することが多いのですが、被爆の問題もあるため、当院ではエコーを使用して正確に被爆なしで行っております。痛み止めの注射を行い、疼痛の軽減をはかったり、ヒアルロン酸を注射して軟骨の摩耗を予防する治療を行っています。
(エ) 大腿外側皮神経炎
(ア) 変形性膝関節症
足関節捻挫は靭帯の損傷の程度に応じて、重症度に応じて3段階あります。
靭帯は、X線検査では映らないので、エコー検査が必須です。
Ⅰ度:靱帯にちいさな損傷がある程度です。数⽇でスポーツへの復帰が可能な状態です。
Ⅱ度:靱帯に部分断裂が起きている。腫れや圧痛がある状態で、スポーツの復帰には2週間以上要します。靭帯に負担をかけないよう、テーピングや装具による固定が必要となります。
Ⅲ度:靱帯が完全に断裂している状態で、手術が必要な場合もあります。
当クリニックでは、できるだけ細い針を使用して、皮膚に刺すときの痛みを軽減する工夫をしています。注射による痛みを0にできるわけではありませんが、0に近づけるよう工夫をしています。