前回に引き続いて、関節リウマチ診療ガイドライン2024のシンポジウムについて私見を述べます。
今回の改訂では、妊娠・授乳期について新たな推奨文が掲載されました。
近年、様々な知見から女性のリウマチ患者さんに使用できる薬剤がとても多くなりました。
まずは、リウマチを寛解に導き妊娠しやすい状態にして、妊娠中・出産前後・授乳期にも比較的安心して使用できる薬剤を選択し、治療を行うことが重要です。
今回は、男性患者にたいするリウマチ治療の記載が追加されました。女性の妊娠・周産期で使用できないMTX製剤は男性では使用できるように明記されました。精子・胎盤からの移行性が極小量だと考えられるためです。
リウマチになってしまい、妊娠・出産をあきらめてしまう方が多いのですが、寛解状態であれば、妊娠・出産することは可能です。妊活中、妊娠中、授乳中に使用できる薬剤は以前より多くなり、より寛解状態に導きやすくなっています。
自己判断せず相談してみてください。
*MTX(メソトレキセート)・・リウマチ治療のアンカードラッグと呼ばれる基本になるお薬です
*csDMARD(conventional DMARD)・・従来型の抗リウマチ薬の略称
*bDMARD(bioDMARD)・・生物学的製剤
文責 下関市 だて整形外科リハビリテーションクリニック 日本リウマチ学会 専門医 伊達 亮
*図は、日本リウマチ学会ガイドライン2024から筆者が一部改編を加えたものです。