だて整形外科リハビリテーションクリニック

PRP(3)

2024/09/29

こんにちは、だて整形外科リハビリテーションクリニックの伊達亮です。

変形性膝関節症(KOA)に対する多血小板血漿(PRP)療法の効果を評価した最新のメタアナリシス研究をご紹介します。この研究は、「Annals of Medicine & Surgery」誌に掲載されており、インパクトファクターは1.36です。PRP療法がヒアルロン酸(HA)やコルチコステロイド(CS)注射と比較してどのような効果を持つのか、具体的なデータを基に検証しています。

概要
本研究では、2023年3月までに発表された無作為化比較試験(RCT)を対象に、PRP、ヒアルロン酸(HA)、コルチコステロイド(CS)、プラセボ注射の効果を比較しました。合計42件の研究、3696人の患者データを分析し、1か月、3か月、6か月、12か月のフォローアップを行いました。

主な結果
痛みの軽減:PRPは、ヒアルロン酸やコルチコステロイドに比べて、膝の痛みを有意に軽減しました。特に6か月後のフォローアップで、痛みの改善が最も顕著に見られました。
機能の改善:PRPは、WOMACスコアやIKDCスコアで、他の治療法よりも優れた機能改善効果を示しました。これにより、患者さんの歩行や日常生活での動作が改善しました。
効果の持続性:PRP療法は12か月後まで効果が持続し、症状の進行を抑える可能性が示されました。

臨床的意義
この研究は、PRP療法が変形性膝関節症の痛み軽減や機能改善において非常に効果的であることを示しています。特に中等度の変形性膝関節症の患者さんに対して、PRP療法が長期的な治療効果を持つことが期待できます。一方で、進行した膝関節症では効果が限定的であるため、症状に応じた治療法の選択が必要です。

当院での取り組み
当院では、患者さん一人ひとりの症状に合わせて、PRP療法を用いた治療プランをご提案しています。PRP療法は、手術を避けたい方や、他の治療法で効果が得られなかった方にも有効です。PRP療法に興味がある方は、ぜひ当院までご相談ください。

おわりに
PRP療法は、変形性膝関節症の治療において、今後さらに注目される治療法です。当院では、最新のエビデンスに基づいた治療を提供し、患者さんの生活の質向上を目指しています。今後も、最適な医療をお届けするために努力してまいります。

日本整形外科学会専門医 だて整形外科リハビリテーションクリニック院長 伊達亮