先日、日本リウマチ学会2024に参加しました。
北播磨総合医療センターの三崎先生の本邦初MTX皮下注製剤の実臨床での応用法~令和時代の新たなRA-Phase I治療への治療戦略とは~というご講演を拝聴しました。
関節リウマチの治療は多くの生物学的製剤やJAK阻害剤の保険収載によって治療選択肢が広がっています。
多様な薬が登場している中でも、メトトレキサート(MTX)という薬は、高い有効性,安全性,忍容性により国内外において関節リウマチの治療の第一選択薬であり続けています。
少し前から、MTXの内服製剤に加えて、注射製剤の使用もできるようになり、当院でも積極的に使用しています。
MTX経口剤と注射製剤を比較した試験では、12週後のACR 20%(*)改善率は、MTX経口剤群51.0%に対して注射製剤群59.6%であり、同程度の有効性が認められました。二重盲検期における副作用発現率は、注射製剤剤群25.0%、MTX経口剤群34.0%でした。
有効性については、私の印象では注射製剤の方が高く、短期間で治療効果が出る印象があります。同様の報告が多数あります。
また、2024年5月から注射製剤にペンタイプが登場し、当院でも使用を開始する予定です。
握力が低下したリウマチ患者さんでも、より確実に簡単に注射を打つことが出来るようになります。
リウマチに関してご不明な点があれば、お気軽にお問い合わせください。
文責 だて整形外科リハビリテーションクリニック 院長 伊達亮
*ACR20%について
アメリカ・リウマチ協会(ACR)が作成した評価基準です。日本でも、薬の有効性を評価する基準に広く使われています。
① 疼痛関節数
② 腫脹関節数
③ 患者による疼痛の評価( Visual analogue scale )
④ 患者による全般的活動性の評価( Visual analogue scale )
⑤ 医師による全般的活動性の評価( Visual analogue scale )
⑥ 患者による運動機能の評価?(MHAQ)
⑦ 血沈、CRPの値
⑧ レントゲン所見
の8項目でリウマチの活動性の評価を行います。
①と②の項目で20%以上の改善があり、③~⑦のうち、3項目で20%以上の改善が認められる場合、「ACR基準20%の改善あり(ACR20)」 と判定されます。
ACR20:効果あり、ACR50:患者さんが満足、ACR70:ほぼ寛解