第43回日本画像医学会に参加しました。

印象に残ったセッションは児童虐待に関するシンポジウムです。

2022年の調査によれば、児童相談所が児童虐待相談として対応した件数は219,179件で、過去最多に達しています。一般的に、虐待と聞くと身体的な暴力を想像する人が多いかもしれませんが、実際には身体的虐待だけでなく、心理的虐待、ネグレクト（育児放棄）、性的虐待などが含まれます。児童相談所によると、医療機関を通じて寄せられる虐待相談は全体のわずか1.8％にとどまります。さらに、医療機関で患者さんサイドから外傷の申告があるのは受診者のわずか16％に過ぎません。被虐待児は自らの苦しみを伝えることが難しく、また親が虐待を隠蔽するケースも少なくありません。そのため、子どもの外傷を見つけた場合は、慎重に検討し、皮膚の状態などを注意深く確認する必要があります。例えば、不可解な圧痕が肋骨や肩甲骨にある場合、揺さぶり症候群の可能性が考えられます。

虐待に関しては、被害を受けた子どもに焦点が当てられがちですが、講演では親へのサポートも必要とされています。家族の現状だけでなく、その背景や状況を理解することも重要だということを学びました。

当院では、看護師が中心となって医師の診察前に事前問診を積極的に行い、患者さんからの声を吸い上げるようにしています。講演の中では、母親の育児に対する姿勢や悩みを理解する上で、母子手帳の確認も重要だと学びました。明日からの診療により注意して生かしていきたいと思います。