だて整形外科リハビリテーションクリニック

PRP(4)

2024/10/13

こんにちは、だて整形外科リハビリテーションクリニックの伊達亮です。
今回は、変形性膝関節症(KOA)に対する多血小板血漿(PRP)とヒアルロン酸(HA)の併用療法が、PRP単独療法と比較してどのような効果を持つのかを評価した最新の研究結果をご紹介します。この研究は、「Scientific Reports」誌(インパクトファクター4.38)に掲載されています。

目的
本研究は、変形性膝関節症(KOA)の患者さんを対象に、単一のヒアルロン酸注射(HYAJOINT Plus)とPRPの併用療法が、PRP単独療法と比較してどのような効果があるのかを検討することを目的としています。

研究の方法
85名の変形性膝関節症(Kellgren-Lawrenceグレード2)の患者さんを対象に、以下の2つのグループに無作為に分けて治療を行いました。

併用療法グループ(N=43) HYAJOINT Plus(3ml)を1回関節内に注射し、その後3mlのPRPを注射。
単独療法グループ(N=42) 3mlのPRPを単独で注射。
治療効果は、6か月間にわたる視覚的アナログスケール(VAS)での疼痛の変化や、WOMACスコア、Lequesne指数などを用いて評価されました。

結果
疼痛の軽減: PRP単独療法よりも、併用療法の方が6か月後の疼痛軽減効果が高く、VASスコアの改善が顕著でした。
機能の改善: 両グループとも、1か月、3か月、6か月の経過観察において、WOMACやLequesne指数でのスコアが有意に改善しました。特に、併用療法グループでは、6か月後にVAS疼痛軽減が有意に優れていました。
安全性: 両グループとも、治療において深刻な副作用は報告されず、安全に施行できることが確認されました。


臨床的意義
この研究は、PRPとヒアルロン酸の併用療法が中等度の変形性膝関節症患者に対して、PRP単独療法よりも優れた効果を示すことを明らかにしました。これにより、痛みの軽減や関節機能の改善が期待できるため、治療選択肢の一つとして有効です。

当院での取り組み
当院では、変形性膝関節症の方に初期からヒアルロン酸注射を積極的に行っています。効果が思ったようにえられなければ、十分な説明を行った上で、PRP療法を行っています。変形性膝関節症の治療にお悩みの方や、これまでの治療で十分な効果を感じられなかった方は、ぜひ一度ご相談ください。

日本整形外科学会専門医 だて整形外科リハビリテーションクリニック院長 伊達亮