だて整形外科リハビリテーションクリニック

下関リウマチセミナー(3)

2025/02/18

みなさんこんにちは。だて整形外科リハビリテーションクリニック 院長の伊達亮です。

2025/02/07、田辺三菱製薬が主催する「下関リウマチセミナー」に参加しました。大阪大学の蛯名耕介先生が「関節リウマチのしくみと治療」についての講演を拝聴しました。その内容の中で、特に大切だと感じたことを、できるだけ分かりやすく説明したいと思います。

リウマチの治療ゴールとは?

関節リウマチの治療は、痛みを抑えるだけでなく、関節の破壊を防ぎ、患者さんが快適な生活を送れるようにすることが目標です。そのため、いくつかの治療のゴール(目標)が決められています。

 
  • 症状をなくす(臨床的寛解を目指す)

臨床的寛解とは、関節の腫れや痛みがほとんどなく、炎症の数値(CRPやESR)が正常範囲になり、日常生活に支障がない状態のことです。早くこの状態にすることで、関節のダメージを減らせます。

臨床的寛解の判断には、次のような指標が使われます。

DAS28:28か所の関節の腫れや痛み、血液検査の数値などをもとに計算されるスコア。

SDAI:関節の状態や血液検査の数値、医師と患者の評価を組み合わせたシンプルな方法。

CDAI:SDAIと似ていますが、血液検査を含まない評価法。

これらを使って、治療がうまくいっているかどうかをチェックします。

  • 関節の破壊を防ぐ(構造的寛解)

リウマチが進むと、関節が壊れて変形してしまうことがあります。その進行を防ぐことが構造的寛解です。

関節のダメージの進み具合を調べる方法の一つに Sharpスコア があります。これは、X線(レントゲン)を見て、関節の骨が削れている部分(骨びらん)や、関節のすき間が狭くなっている部分(関節裂隙狭小化)を点数化する方法です。スコアが低いほど、関節が壊れていないことを示します。

  • 生活に困らないようにする(機能的寛解)

機能的寛解とは、リウマチがあっても、普段の生活に大きな問題がない状態を指します。例えば、朝起きたときに関節がこわばらない、歩いたり家事をしたりできる、仕事を続けられるなどの状態です。

当院では、定期的にmHAQスコアというものを測定しています。8項目を0-3点でスコアリングして、合計点数を8で割ります。平均値が0.5以下であれば、良好な機能的寛解が得られているとされています。

このためには、リハビリテーションがとても大切です。関節が硬くならないように動かしたり、筋力をつけたりすることで、スムーズに動けるようになります。特に、適度な運動を続けることで、関節の柔らかさを保ち、炎症によるこわばりを防ぐことができます。

当院では、リハビリに力を入れており、セラピスト11名(理学療法士10名・作業療法士1名) の体制で、積極的にリウマチ患者さんの機能回復をサポートしています。一人ひとりの状態に合わせた運動プログラムを提供し、より快適な生活ができるようにお手伝いしています。

よりよい生活を送る(QOLの向上)

リウマチの治療は、痛みを抑えることだけが目的ではありません。患者さんが、好きなことを楽しみながら快適に過ごせるようにすることも大切です。治療をしっかり続けることで、旅行に行ったり、趣味を続けたり、運動を楽しんだりすることも可能になります。

まとめ

リウマチの治療では、痛みを取るだけでなく、関節を守り、動きをよくし、生活の質を高めることが大切です。早めに診断を受け、適切な治療を続けることで、よりよい毎日を送ることができます。

だて整形外科リハビリテーションクリニック
日本リウマチ学会専門医
院長 伊達亮