みなさんこんにちは。だて整形外科リハビリテーションクリニック院長の伊達亮です。
7月14日(日)から7月15日(月)に熊本で開催された第37回日本臨床整形外科学会に参加しました。
医療法人社団 松下会 あけぼのクリニックの田中 元子先生による腎機能から見た高齢者骨粗鬆症治療の留意点を拝聴しました。
慢性腎臓病(chronic kidney disease;CKD)は慢性に経過するすべての腎臓病を指します。
あまり耳にしないかもしれませんが、実はCKDの患者さんは約1,480万人(20歳以上の約7人に1人)いると推計され、加齢とともに腎機能が低下するため,高齢者にはCKD患者が高頻度に認められます。CKDは骨折リスクを上昇させると言われています。
骨粗鬆症もCKDと同様、年齢とともに増加し、高齢になるほどその頻度が高くなります。
骨粗鬆症治療薬には、腎機能低下患者に使用できない薬もあるため、腎機能を考慮した治療選択を当院では行っています。
CKDになっている方は、CKD-MBD(慢性腎臓病に伴う骨ミネラル代謝異常)という特有の骨代謝異常が存在します。具体的には、1)腎臓でビタミンDが活性化されないため、骨へのカルシウムの供給が乏しくなる2)腸管からカルシウムが吸収されなくなるため、血中のカルシウム濃度が低下する3)血液中のリン上昇4)血液中のカルシウムが低下するため、血清PTH上昇が認められます。PTHというホルモンは、継続的に出続けると皮質骨多孔性(骨の表面の硬い骨の部分に隙間ができること)や皮質骨幅減少化を通じて大腿骨近位部骨折のリスクとなります。
本講演では、同部位の骨折防止が主になるため、皮質骨への薬効が証明された薬剤を推奨すべきだが、腎機能には十分注意する必要があることを述べられていました。
骨吸収という骨が壊れる過程を抑え込むビスホスホネート製剤があるのですが、腎機能低下患者さんでも使用できるアレンドロネート製剤もしくはミノドロネート製剤を使用すべきだと述べられていました。
当院でも主にeGFRという指標で40以下の場合は、ミノドロネート製剤を使用するようにしています。(CKD4というステージは、eGFR30未満ですが、その少し手前の【40】という値を指標にしています。
デノスマブやロモソズマブという薬剤は骨吸収を強力に抑え込むため、低カルシウム血症に注意を要します。対策としては、ビスフォスフォネート製剤を一定期間内服していただくと低カルシウム血症のリスクが低減する可能性があると考えています。
骨粗鬆症治療として良く使用されているエルデカルシトールによる高カルシウム血症は高頻度に認められています。当院でも、腎機能低下がある方には、アルファカルシドール製剤や天然型ビタミンD製剤の服用などに切り替えるようにしています。
当院は、骨粗鬆症患者さんをたくさん診察した知見をもとに診察を行っております。
骨粗鬆症の治療でお悩みの方は、一度ご相談ください。
治療をやめてしまった方でも再開はいつでもできます。こちらもお気軽にご相談ください!!
文責 下関市 だて整形外科リハビリテーションクリニック 日本骨粗鬆症学会 認定医 伊達亮